美味しんぼの「土鍋の力」の話をご存じですか?
土鍋の吸水性の良さを活かして土鍋に染み込んだすっぽんの風味をダシ替わりに、とびっきりのまる雑炊を作り上げるというお話です。
染み込んだものがダシであればいいですがそれが体によくないものであればどうでしょう?
土鍋の特徴は吸水性にあります。洗剤を使って洗っていいものか迷われますよね。
私も焦げが酷い時に洗剤と金タワシでごしごしと洗うこともありました。
しかしそのような行為そのものが、せっかくの土鍋の寿命を縮めてしまっていたのです。
この機会に土鍋の洗い方や正しい洗剤の使い方、焦げやこびりつきの対処法など見直してみませんか?
あなたの土鍋が長持ちすること間違いなしですよ。
土鍋を洗剤で洗うのはOK正しい洗剤の使い方をご紹介
一番に気になることは土鍋に中性洗剤を使ってもよいのかという点ですよね。
結論から言えば土鍋はいつもの中性洗剤で洗うことができます。
ただし中性洗剤で土鍋を正しく洗うためにはとあるお手入れが必要です。
土鍋を購入したらまず初めに目止めを行いましょう。
目止めを行えば中性洗剤を使用しても安全に土鍋を洗うことができますよ。
土鍋を中性洗剤でう場合の正しい洗い方
土鍋を中性洗剤を使って洗ってしまったけれど大丈夫かしら…
このような方、結構いらっしゃると思います。
土鍋の公式のHPによると少量の洗剤であれば洗剤を使っても問題ないようです。ご安心ください。
但し洗剤の入った水につけ置くのはやめましょう。
土鍋には無数の小さな穴を持っています。
洗剤の入った水でつけ置いておくと、吸水性の良さからその洗剤を吸ってしまいます。ご注意下さい。
私も焦げが酷い時や疲れている時には土鍋を洗い桶代わりにしてお世話になっていました。
今考えると信じられない行為ですね。
正しく中性洗剤を使って洗うためのポイントは、少量の洗剤を使って短時間で洗う、つけ置きは絶対にしないということです。
土鍋の洗い方【洗剤を使う場合】
- 鍋が冷めるのを待つ
- 鍋の汚れを拭き取る
- 手やスポンジなどの柔らかい素材で少量の中性洗剤を使いさっとあらう
もう食器用洗剤に一晩つけてしまったわ…
そのような場合も大丈夫です。土鍋に水を張り沸騰したら火を弱めてそのままにしておきましょう。
土鍋に染み込んだ洗剤の成分を外に出すことができます。
臭い移りが気になるという場合はこれを2、3回繰り返してください。
土鍋に洗剤が染み込んでしまったと焦らなくても心配ないですね。
土鍋を購入したらまず目止めをしよう
その中性洗剤を使って安全に土鍋を洗うためには、目止めが必要です。
目止めとは鍋の土と土の間の見えない隙間をご飯などのでんぷん質で埋めるための処置です。
ひび割れやニオイ、汚れなどの不衛生なモノが小さな隙間(目)から入り込むことから防ぎます。
これにより洗剤の成分が穴に染み込まずに安全に洗剤で洗うことが出来ます。一番初めに目止めを行いましょう。
目止めの仕方
- よく水で洗い、よく乾かす
- 土鍋の8分目まで水を入れる
- ご飯を入れたらよくほぐす
- 弱火でことこと炊いていく
- おかゆができたら1時間以上置いておく
- 冷めてから中身を取り出す
- 水洗いし、よく乾かす
- 目止めの完成
目止めに関する詳しい記事はこちらになります。
最初にしっかりと目止めを行うことが重要です!
中性洗剤で洗いたくないという場合でも目止めをしっかりした鍋を使用することで普段のお手入れが楽になりますよ。
土鍋を洗剤で洗わない場合
そうはいってもやはり土鍋を洗剤で洗うのは気が引けるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは洗剤を使わない洗い方のご紹介です。
土鍋の基本の洗い方
土鍋の基本的な洗い方
- 鍋が冷えるまで待つ
- 中身を移し変え軽く拭き上げる
- 手を使って水でやさしく洗う
- 拭きあげたら鍋底を上にしてしっかり乾かす
- 新聞紙などに包んで収納する
ポイント
- しっかり冷えるまで待つ
- 水で洗い終えたら拭きあげてすぐに収納するのではなく、鍋底を上にしてよく乾かす
鍋は拭きあげても水分が残ってしまうので、そこからカビが発生しやすくなってしまいます。
カビの発生を抑えるためにも完全に乾かすことが重要です。十分に乾かしてから収納しましょう。
普段のお手入れはこのように水を使った方法で十分です。
ニオイのある料理や水では落としきれない汚れがひどい状態であれば、中性洗剤を使って洗うことも可能ですのでご安心ください。
洗剤は使いたくないけれども汚れは気になるという場合は、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。
土鍋を重曹で洗う
こちらも土鍋が冷めてから洗うという工程は同じです。重曹を使います。
- 土鍋が冷めるまで待つ
- 残りかすを取り出し、水で洗い流す
- キッチンペーパーでふき取ったら重曹を大さじ1~2杯ふりかける
- やわらかいスポンジで優しく洗う
- 水ですすぐ
重曹を洗剤替わりに使用する場合、どのような重曹を選んだらよいか迷われますよね。
基本的には土鍋に吸水性があることから食品用を選ぶ方が安心です。
このような商品を選べば食用にも掃除用にも使えるので重宝しますよ。
中性洗剤と重曹ではどちらがいいのかしら⁉
私も重曹で洗った後の土鍋と中性洗剤で洗った場合と、どちらがよりすっきりと洗えるのかを試したことがあります。
その結果、中性洗剤で洗う方がより綺麗に洗うことができました。
鍋料理にもよるのですが、重曹ですとニオイや汚れ落ちがいまいちでした。
しかし調べてみると重曹の使い方にもコツがあるようです。
大さじ1~2程の重曹に少量の水でペースト状にして汚れを浮かせると、とてもきれいに汚れを落とすことができました。
この重曹ペーストは作り方を覚えておくと洗剤代わりだけではなく、キッチン周りや普段の掃除にも使用できて便利ですよ。
【重曹ペーストの作り方】
ニオイのある料理を洗う時は中性洗剤で洗い、それ以外は重曹入りの水で洗うなど、鍋料理の種類により洗い方を変えるのもよいかもしれませんね。
土鍋を洗剤で洗った後の洗剤の臭いやその他の臭いが気になるときは⁉︎
普段から気をつけてお手入れをしていても洗剤の臭いが染み付いてしまうこともあります。
私のように洗剤でつけ置きしてしまった場合は特に臭い移りも気になるところです。
土鍋の中の臭いを消すにはお湯を沸かし荒土の中に潜んでいる臭いの元を水で溶かし出すことが大事です。
煮沸する時には必ず鍋底が濡れた状態でお湯をかけないということに注意してくださいね。
しっかり乾いた状態の土鍋を使用します。これらも様々な方法により土鍋についた臭いを消すことができますので試してみて下さい。
お茶っぱと一緒に煮沸する
お茶っぱも土鍋の臭い消しには効果があると言われています。
出がらしでよいですので、だいたい8分目まで入れた水に、一掴みほどのお茶っぱを入れて一緒に煮沸しましょう。
10分ほどで結構です。十分に土鍋の熱が冷めたら手洗いしてよく乾かします。
50cc〜70cc程度のお酢と一緒に煮沸する
酢も土鍋の臭い消しに作用があると言われています。
濃度は水に対してお好みで調整してください。但しあまりに酢の分量を増やしすぎると、今度は酢の臭いが気になるということになりますので気をつけましょう。
また酢は土鍋のカビ予防にも効果があるようです。
臭い同様カビが気になるという場合も、酢を入れて沸騰したら10分煮沸してください。
カビの菌にもお酢が効果的ですよ。酢は穀物酢などの調味酢ではないもので煮沸してくださいね。
200mlあたり大さじ1の分量の重曹
ここでも万能な重曹の登場です。重曹は土鍋の焦げにもこびりつきにも効果的に作用します。
だいたい200mlあたり大さじ1の分量の重曹を水と一緒に溶かしたら、沸騰して10分煮沸します。
臭いがまだ気になるという場合は10分程煮立てたあと蓋をして一晩放置しましょう。
後はしっかりと水で洗い流し乾燥させましょうね。
その他にも牛乳を土鍋で沸騰させ弱火で煮る、柑橘類の皮と一緒に煮込むなども臭い消しに効果があると言われています。
ニオイを消臭するのに一番最適な方法を試してみて下さいね。
土鍋の焦げには洗剤ではなく重曹や酢がおすすめ
土鍋の焦げやこびりつきももちろん気になるところです。
洗剤を使ってゴシゴシと洗ってしまうよりもより安全に落とす方法をお伝えします。
焦げにも重曹や酢が効果的です。焦げつきの原因になっている食材に合わせて使い分けます。
何故土鍋は焦げやすいのか
そもそも土鍋に焦げを作らないためにも、何故土鍋が焦げやすいのか土鍋が焦げ付く原因を先に知っておくと新たな焦げの発生を防ぎますね。
焦げにはこんがりキツネ色の焦げと、完全に真っ黒に焦げてしまうタイプの二種類が存在します。
後者は炭化と呼ばれる現象で、酸素の少ない条件で加熱することにより発生します。
火加減と加熱時間を調整して調理するのは、この焦げつきを調整するためでもあります。
土鍋を焦がしてしまう原因は次のとおりです。
【火加減が強い】
火加減が強いとあっという間に焦げます。弱火からゆっくりと強めていくように火加減を調整しましょう。
また中火から消すという場合も、一度弱火に落としてから消すことで土鍋を焦げから守ります。土鍋に強火は厳禁です。
【具材の量が多すぎる】
ついつい鍋料理だからと一気に具材を詰め込みたくなるところですが、鍋底近くの具材が底にくっついて焦げの原因になってしまいます。
具材が多いと吹きこぼれしやすいです。吹きこぼれた水分が外側に伝うことで焦げの原因となってしまいます。
【火にかけている時間が長い】
土鍋には保温性がありますのでそれほど長く火をかけずとも余熱で温まります。
長時間火にかけることで鍋の底を焦がしてしまいます。
レシピを参考にして火にかけている方はご注意くださいね。
レシピより短めの時間で火にかけることで土鍋の焦げから守りますよ。
酸性食品の焦げには重曹を使う
- 前もって鍋をきれいに洗って乾かしておく
- 8分目の水に重曹大さじ3を入れ沸騰させる
- 10分ほど蓋をして煮沸し、一晩つけ置きする
- 焦げたところをやさしくスポンジや天然のタワシでこすって落とす
アルカリ性食品には酢を使う
【アルカリ性食品】…野菜、きのこ、豆腐
- 前もって焦げをタワシなどでこすり落としておく
- よく水で洗い、乾かす
- 8分目の水に50cc〜70ccの酢を溶かし中火で沸騰させる
- 蓋をして完全に沸騰したら火を消して一晩置く
- スポンジや天然のタワシを使って擦り落とす
土鍋で炊いたご飯のこびりつきを落とすには目止めがおすすめ
土鍋で炊いたご飯はとてもおいしいですよね。しかしながら土鍋のこびりつきも悩ましいところです。
このこびりつきにも目止めが効果的です。
でんぷん質で穴を埋めることにより目を塞ぎこびりつきを防いでくれますよ。
買ったばかりの土鍋炊飯窯ではこびりつきが酷かったという方もいらっしゃると思いますが、私も年々こびりつかなくなり不思議に思っていました。
米を炊くことで目を塞いでくれていたのですね。
また土鍋を炊いた時にしっかりと蒸らすことも重要です。蒸らすことでこびりつきを減らすことができますよ。
こびりついてしまったら以下の方法を試してみてくださいね。
水を8分目まで入れて10分ほど放置しましょう。簡単にこびりつきが落とすことができると思います。
頑固な場合は重曹大さじ1杯と水を火にかけて沸騰する直前で火を消し、10分待ってからスポンジで擦り落としましょう。
まとめ
- 土鍋に洗剤を使っても少量で短時間なら問題ない
- 土鍋を買ったら初めに目止めを行うことで安全に洗剤を使用できる
- 基本的な土鍋の洗い方は、手を使って水で洗うだけでよい。落としにくい場合には、少量の洗剤や重曹ペーストを使う
- 土鍋についた臭いは、出がらしの茶っぱや酢、重曹と一緒に煮沸することで落としやすくなる
- 土鍋の焦げにも重曹や酢の使用が効果的である。焦げの種類により使い分ける
- 土鍋のこびりつきは水に10分程浸して擦り落とす
土鍋は鍋料理だけではなくご飯を炊く時にも重宝します。
日ごろのお手入れ方法は身の回りにあるもので十分です。
優しく扱い、今ある土鍋を長く愛用して下さいね。