七五三といえば、お子さんが産まれたご家庭では、ビックイベント!大切な子どもの成長の節目に、着物を購入したいとお考えの方も多いかと思います。
ある日のこと、女の子が生まれた義妹が「一つの着物で、七五三の3歳と7歳で兼用することはできないのかな…」とつぶやきました。
確かに同じ着物を、3歳と7歳で兼用できたら嬉しいですよね。
私は初めての育児に手一杯で、七五三の着物について深く考えることなく、レンタルしてしまいました。
レンタルも、もちろんよかったのですが、今になって、何も手元に残せなかったことに少し後悔もあります。
可愛い姪っ子のためにも「七五三の着物は3歳と7歳で兼用できないか?」と調べてみたのでご紹介します。
七五三の着物を3歳と7歳で兼用する方法
七五三は、子どもの健やかな成長を願い、晴れ着姿で神社にお参りする、日本の伝統的な年中行事です。
男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳でお祝いします。
いろいろ調べてわかった事は、「女の子の3歳用と7歳用の着物とでは、そもそも生地の裁ち方や見た目が異なり、成長も伴っているため兼用するのは難しい」ということでした。
なぜ3歳と7歳の着物が異なるかというと、一般的に3歳の七五三は「三つ身(小裁)」、7歳での七五三は「四つ身(中裁)」の着物を着せます。
三つ身の仕立ては背中の部分に縫い目がなく、四つ身になると大人の振袖に近い仕立てになります。
デザインも7歳の着物の方がより落ち着いた柄や色合いになってきます。
これは3歳の無邪気な雰囲気から、落ち着いたお姉さんになっていくという願いがこめられているからかもしれませんね。
「やはり、3歳と7歳で同じ着物を着ることは無理なのか…」と諦めかけましたが、さらに調べた結果、3歳と7歳で兼用する方法を見つけました!
7歳用の着物を準備して3歳用に仕立て直す
子供が3歳に近づいた際、「産着はレンタルしたから、これから7歳まで使える七五三の着物を準備したい」とお考えの方ももちろんいらっしゃるでしょう。
「3歳の七五三の時に、7歳用の着物(少し大きめの着物)を準備して、その着物を3歳用に仕立て直しをする」という方法があります。
あまり聞いたことないけど、そんなことできるの?
私も不安に思ったので直接、「仕立て屋さん」に聞いてみると「できますよ」という回答を頂きました!
その着物を、3歳の子どもが着用できるように、「袖」「肩」「腰」の縫い上げ(サイズ直し)を行います。
そして3歳の七五三が無事終わり、7歳に近づいたころ、その時の子供のサイズに合わせて、また仕立て直します。
この方法で、同じ着物を3歳と7歳で兼用することが可能というわけです。
しかし、もう3歳用の着物を購入済の方は、その着物を7歳で着ることはできないのでしょうか?
3歳の着物は、「三つ身」で作られていることが多いため布が足りず、残念ながら7歳では使うのは難しいようです。
7歳用の着物を3歳用に仕立て直してもらう相場は、二万円前後。
私が問い合わせをした仕立て屋さんでは、7歳用の大きめの着物を3歳用に仕立て直しをする場合、「着物+長襦袢」で二万二千円と回答を頂きました。
そして四ツ目の着物を3歳サイズにした仕立てた後、また再度7歳サイズに仕立て直しする場合は一万円ということでした。
ぜひご参考になさってくださいね。
七五三の着物はお宮参りで着た産着を利用できる
そして更にこのように活用することもできます。
お宮参りで着た産着を3歳の七五三の着物に仕立て直すという方法です。
「産着を、3歳の七五三の着物に仕立て直すことができる」とわりとご存じの方も多いのではないでしょうか。
産着・初着(うぶぎ)とは、お宮参りに着る「一つ身」の着物。赤ちゃんが直接着るのではなく、祖母またはお母さんが抱っこした赤ちゃんに覆いかけるように着せます。
赤ちゃんが初めて袖を通した着物を活用できるなんてステキ
産着は、腰上げ、肩あげ、袖を加工することで、3歳の子どもの着物の形に仕立て直すことができます。
では、この着物をさらに7歳の七五三に、仕立て直して着ることはできないのでしょうか?
では、改めて着物の説明で先ほどから出てくる「一つ身」「三つ身」「四つ身」とは何のことかご説明していきます。
これは仕立て(裁ち方)の違いを表したものです。
- 「一つ身(ひとつみ)」は、0歳から3歳の七五三までに着る着物で小裁(こだち)とも呼ぶ
- 「三つ身(みつみ)」は、2歳から5歳までで、背中の真ん中に縫い目がない
- 「四つ身(よつみ)」は、7歳から8歳までで、背中の真ん中に縫い目がある
身幅や着丈の大きさの違いで、年齢はおおよその目安となります。
「一つ身」は、とても小さな着物です。一般的に産着は、「一つ身」あるいは「三つ身」で作られていることが多いので、7歳の身丈では寸法が足りず、7歳用に仕立て直すことはできません。
「四つ身」でしたら、身丈の4倍ほどの布で仕立てられています。産着の時点で「四つ身」に仕立てておけば、7歳でも着用できるというわけです。
地域によっては、この「四つ身」の着物をお宮参りの祝い着として着用することが一般的という所もあります。
しかし、市販のものは「一つ身」が多いので、産着を7歳まで活用したいとお考えなら、産着を購入する際、呉服屋さんに相談しましょう。
ちなみに、産着を七五三用に仕立て直してもらう料金の相場は、二万円前後が多いようです。
七五三の着物を購入するにあたっての基礎知識
昔は自分の手で、娘や孫の着物のサイズを直して着せていたといわれますが、洋服と違い着物は難しさが違います。
裁縫が得意で、着物の知識もあるかたでしたら大丈夫だと思いますが、自分でやることに不安を感じるのであれば、専門家にお願いするのがよいでしょう。
専門家にお願いするとしても、最低限の着物の知識を知っておくといいですね。そうするとスムーズに話ができると思います。
ここでは、知っておきたい七五三の由来や、着物の違いをご紹介します。
七五三の由来と着物を着るのが女の子では3歳の理由
昔は3歳まで髪を剃る風習があり、そうすることで、丈夫で綺麗な髪が生えてくると信じられていました。
そして、3歳に子どもが初めて髪を伸ばし始める儀式が「髪置き(かみおき)の儀」で、ここまでの成長を祝い、これからの健康を願う意味があります。
3歳の女の子は、一般的に「三つ身」の着物を着てその上に被布(ひふ)を着るスタイルと、帯を結ぶスタイルがあります。
被布とは大人でいう、ベストのようなものです。3歳ではまだ帯は結ばなくてもよいので、正式な帯を結ぶ代わりに、被布を着るというご家庭が多いようです。
子どもが小さいと「ぐずらないかな…」と心配ですよね。
私の娘も被布を着せたのですが、ぐずることなく、ずっとご機嫌でした。
被布は、着付けも簡単で子供も動きやすいので、その点少し安心です。
ちなみに、被布を着るのは3歳だけ。他の年齢では着ることはできないのでご注意ください。
七五三で着物を7歳女の子が着る理由
7歳の七五三では、今まで使っていた子ども用の兵児帯(へこおび)を解く、「帯解(おびとき)」をお祝いするものです。
大人と同様の帯を締めることで、大人の女性の仲間入りをした子どもの、これまでの成長を感謝し、これからの成長を願います。
着物は、3歳の時と大きく様変わりし、全く同じではないですが、大人の振袖のような形になります。
7歳の七五三は、「成長して、帯が締められるようになったこと」をお祝いするもの。被布ではなく着物に帯を締めることが、3歳の七五三と大きく違う点です。
7歳は「四つ身」といわれる子供用の着物を着用します。
帯は、大人の帯と同じく1本の長い帯を巻いてから結ぶ「手結び帯」と、簡単に装着できる「作り帯(結び帯)」があります。
作り帯は、帯を巻いて、背中にリボンを差し込むだけなので簡単ですし、子どもの体を締め付けないので安心ですね。
7歳といってもまだまだ子供なので、負担が少ないほうがよいかもしれません。
七五三の着物を購入する以外に必要なセットは?
着物を購入して、それぞれ3歳・7歳のサイズに仕立て直しをし、着物の準備はできたとしても、それだけでは着ることはできません。
市販のものを購入された場合、それぞれに必要な物が一式セットで売ってある場合が多いです。
しかし、着物のみを購入した場合は、着付けなどに必要なものをそろえる必要があります。
では3歳と7歳の七五三に、それぞれどんなものが必要なのでしょうか?
3歳の七五三に必要な小物
被布を着るスタイルの場合の必要なものを、小物も合わせてまとめてみました。
- 着物
- 被布
- 肌襦袢(はだじゅばん)…素肌の上に着る下着。和装用でも手持ちの肌着でもOK
- 長襦袢(ながじゅばん)…着物の下に着る和装用の下着
- 半襟(はんえり)…長襦袢の襟につけて、着物から「ちらり」と見えるようにする
- 腰ひも…2~3本必要
- 兵児帯(へこおび)…着物の上から結ぶ柔らかい帯で、被布で隠れるため見えない
- 足袋…和装の靴下
- 草履…和装の履物
巾着(バック)・髪飾りもあると可愛いですよね。
私の友達は、「子供が3歳のとき、巾着を用意したけれど全然持ってくれなかった…」と残念がっていました。必要かどうかはご検討ください。
7歳の七五三に必要な小物
7歳の七五三のメインは「着物」と「帯」ですが、3歳と比べて必要なアイテムが多くなっています。
- 着物
- 帯
- 肌着
- 長襦袢
- 刺繍の半襟
- 腰ひも…3~5本ほど必要
- 帯揚げ(おびあげ)…帯から少し見えてアクセントになる
- 帯締め(おびじめ)…帯の中央に締める紐のこと
- 筥迫(はこせこ)…着物の胸元に挟む小物入れ
- 志古貴(しごき)…腰の上に巻いて、斜め前か後ろに垂らして使う
- 扇子(せんす)…帯と帯締めの間に差し込む
- 足袋(たび)
- 草履(ぞうり)
その他、必要であれば次のものもご準備ください。
- 伊達締め(だてじめ)…腰ひもより太くて、着物を腰ひもで着つけた後に使用する
- 帯板(おびいた)…作り帯の場合は1枚必要
- 帯枕(おびまくら)…帯の形を整えるために使う
- びらかん…筥迫につけて装飾する
- お守り
- 髪飾り
- バック
7歳の七五三で必要な小物を、全部揃えようと思うと、なかなか大変だと思います。
呉服屋さんに相談したり、通販では「7歳七五三小物セット」という商品もありますので、利用するのもいいですね。
七五三の着物の着せ方や購入時の注意点
七五三の着物を3歳と5歳で兼用したいとき、着物選びにもちょっとした注意が必要です。
まず、子どもの為に考えてあげたいことは、「着物の重さ」。
「四つ身」の着物を仕立て直して、3歳の子どもに着せるということは、通常の3歳の七五三の着物と比べて、「重い着物」を着せることになります。
3歳の子どもへの負担が大きくならないよう、注意することも大切ですね。
子どもの負担を軽くする方法は、2つあります。
- 中に着る下着を減らす
- 着物の素材を軽くする
通常3歳の七五三では「肌襦袢+長襦袢+着物+被布」というスタイルです。ですが、肌襦袢に半襟を付ければ、長襦袢を省略することが可能なんです。
襟を付けた肌襦袢の上に着物なので、1枚減ることになり、少しは軽くなります。
そして素材ですが、子どもの負担を減らすため、軽いポリエステル素材を選ぶのもひとつの手でしょう。
ここは意見が分かれるところなので、それぞれのメリット・デメリットを比較してご検討ください。
七五三の着物は正絹が主流でしたが、最近では軽くて丈夫なポリエステル素材も増えています。
正絹は、美しい光沢で滑らかで柔らかい生地。せっかく着物を作るのであれば、正絹で作りたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
ただ、重いのが難点。汚れに弱いデメリットもあります。
ポリエステル素材は、軽くて耐久性に優れています。しかし、吸水性がなく蒸れやすかったり、チクチクしたりするので、敏感肌のお子さまには注意が必要です。
近年、技術が向上したこともあり、正絹かポリエステル素材か、ぱっと見ただけでは、見分けがつきにくくなっているようです。
祖父母の意見も取り入れながら、素材選びをすることをおすすめします。
そして最後に注意したいことは、着物の色と柄の選び方です。
3歳では、パステルカラーにビビットカラー、カラフルなものが多いようです。
しかし、7歳では落ち着いた色味や柄が選ばれることが多いので、3歳と7歳で着用して違和感のないように、慎重に選びましょう。
まとめ
- 産着を作るときに「四つ身」の着物に仕立てておけば、3歳と7歳の七五三に活用できる。
- 産着が手元にない方は、7歳でも着用できる「四つ身」の着物を準備すれば、3歳と7歳で着物を兼用できる。
- 七五三の3歳と7歳の、それぞれの着物の違いを知ることが大切。
- 女の子3歳の七五三の着物スタイルは、着物+被布。
- 女の子7歳の七五三の着物スタイルは、着物+帯。
- 着物の他にも着付けに必要なものを準備しよう。
- 7歳の七五三の着付けに必要な小物は、3歳と比べて多いので呉服屋さんに相談したり、便利な通販を利用しよう。
- 着物を購入する際は、3歳の子どもに負担がかからないよう、重さにに注意しよう。
- 着物を購入する際は、3歳と7歳で兼用できる色や柄を選ぼう。
七五三の着物を、3歳と7歳で兼用する方法、注意点などをまとめましたが、いかがでしたか?
着物の仕立ては、着物の購入した呉服屋さんや、仕立て屋さんなどの専門家に相談しましょう。
時期によっては、1か月ほど時間を要することもあるので、早めに相談するといいですね。
今回、ひとつの着物を大切に着る、日本の着物文化のすばらしさを実感しました。
大切な子どもの成長を祝う「七五三」。あなたのお子さまやご家族にとってステキな思い出になりますように。
お父さん・お母さんも着物を着用したいかたは、こちらの記事も参考にしてくださいね!